健康生活へのアドバイス

体内でのエネルギー貯蔵

体が正常な働きを維持するためにはエネルギーが必要です。タンパク質・脂質・糖質は3大栄養素と呼ばれ、エネルギーになる事が出来ます。(詳しくは、マリヤ・クリニックニュースNo.169と、『低血糖症と精神疾患治療の手引』p96・『栄養医学ガイドブック』p63をご覧ください。)身体には、これらの栄養素をある程度貯蔵し、必要に応じて取り出せるしくみがあります。

栄養素の貯蔵と利用

@タンパク質の貯蔵と利用(肉・魚・卵・豆類など)
食事から得られたタンパク質は、アミノ酸にまで分解されて、小腸から吸収されます。その後、門脈を通って肝臓に入り、活性型アミノ酸に変化し、血中に放出されます。活性型アミノ酸は必要量の血清タンパクなどの合成に使われ、他は血液や各組織に存在しています。一定量を越えると過剰分は分解されて、グリコーゲンや脂肪となり、体内に貯蔵されます。
骨格筋の筋タンパク質は、タンパク質の重要な貯蔵源となり、アミノ酸の供給に利用されます。体タンパク質は絶えず作り変えられているため、タンパク質の摂取不足が続くと、筋タンパク質は分解されてしまいます。アミノ酸は、新しいタンパク質の合成・神経伝達物質・ホルモンやグルコースの合成にも利用されます。また、エネルギーの材料としても用いられます。タンパク質をエネルギーの材料として利用する時はブドウ糖をエネルギーに分解する時と異なり、すい臓からのインスリン分泌を必要としません。その為、すい臓にかける負担を軽くし、速やかにエネルギーとなります。
タンパク質の摂取不足は、エネルギーの材料不足を招き、脂肪を分解して、遊離脂肪酸からエネルギーの材料を作る過程を促します。遊離脂肪酸が多く産生されると、一部がケトン体となりやすくなります。ケトン体は脳や腎臓、筋肉でエネルギーとなる事が出来ますが、過剰になると血液が酸性に傾き、吐き気や腹痛を引き起こすケトアシドーシス(別名、自家中毒)となってしまいます。


A脂質の貯蔵と利用(油など)
食事から得られた脂質は、小腸で遊離脂肪酸とグリセロールに分解され、エネルギー源として使われます。また、一度小腸の細胞に入り、再度中性脂肪に合成され、コレステロールなどと結合して、リンパ液(や血液)を介して全身の細胞に運ばれます。利用されなかったものは、脂肪細胞に蓄積されます。脂質は水を含有しない状態で貯蔵可能であり、タンパク質や糖質に比べ、エネルギーをコンパクトに貯蔵することが可能です。
蓄積された脂肪は、分解されて脂肪酸を血液中へ出します。この脂肪酸は筋肉中へ取り入れられ、エネルギー源として利用されます。脂肪酸からのエネルギー産生は有酸素性機構によってのみ行われるため、ウォーキングやジョギング等の有酸素運動時は、脂肪が重要なエネルギーとなります。しかし、脂肪はエネルギーの貯蓄の役割があるため、必要に迫られなければなかなか使われることはありません。脂肪が主に利用されるためには、少なくとも十五分以上の有酸素運動が必要とされています。運動無しで痩せようとすると、脂肪よりも筋肉などのタンパク質がエネルギーとして利用されてしまいます。また、インスリンには脂肪を合成したり分解を抑制したりする働きがあるため、管理されていない糖尿病があり、かつ高インスリン血症などを持つ場合、脂肪が利用されにくくなってしまい、肥満傾向となります。血中の中性脂肪濃度は、脂肪摂取後3時間程度でピークとなるため、血中の中性脂肪濃度の高い方は、この時点から有酸素運動を行うことが有効であると考えられています。

B糖質の貯蔵と利用(ごはん・パン・麺など)
食事から得られた炭水化物は、消化・吸収されると、ほとんど全てグルコース(ブドウ糖)になりエネルギー産生に利用されます。食後、血液中のグルコース(血糖)は、肝臓や筋肉でグリコーゲンという多糖類(ブドウ糖などの単糖類が行いくつも結合した糖のこと)に合成されて、貯蔵されます。肝臓は血糖値の調節に重要な役割を果たします。食後などに血糖値が高くなれば、グルコースを取り込んで、グリコーゲンとして蓄え、血糖値が低下すると、分解してグルコースを血液中に放出します。一方、筋肉のグリコーゲンは、分解されても血糖になることは出来ず、筋肉が収縮するときのエネルギー産生に利用されます。
炭水化物が不足するとエネルギーの材料として脂肪がエネルギーとして利用されるようになります。そのため、炭水化物の不足が続くとケトン体が過剰になり、ケトアシドーシスを起こしてしまいます。また、タンパク質もエネルギーとして使われてしまいます。エネルギーとして使用されず、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えきれなかった炭水化物は、脂肪細胞や肝臓で脂肪に合成され、蓄積されます。

 

血糖を供給するための糖新生

 ブドウ糖は脳や赤血球の主なエネルギー源となります(赤血球はブドウ糖しかエネルギーに出来ません)。絶食や飢餓などによって血糖値が低下してくると、脂肪(グリセロール)・アミノ酸・乳酸など、糖質以外の物質からブドウ糖が作られて供給される経路があり、これを糖新生といいます。糖新生は肝臓と腎臓の細胞で行われます。

 

@乳酸からの糖新生 
筋肉がブドウ糖を燃やすと乳酸が生じ、筋肉内に貯まります。筋肉に乳酸が貯まると、血液を通じて肝臓へ送られ、乳酸2分子からグルコース1分子が合成されて血液に返されます。この糖新生によって筋肉の疲れが解消されます。この反応は、ビタミンB群、特に、ナイアシン・B2はこの反応を促します。

 

Aグリセロールから糖新生
血糖が下がると、脳が空腹信号を出し、膵臓がグルカゴンというホルモンを放出します。体脂肪組織はグルカゴンを受けると脂肪を分解し、脂肪酸とグリセロールが放出され、グリセロールはピルビン酸からブドウ糖に合成されます。このとき、脂肪酸からの糖新生は行われず、エネルギーとして使われます。

 

Bアミノ酸から糖新生
肝臓は、血液や各組織のアミノ酸を材料にしてグルコースを合成します。脳で、血糖値が下がった際によく用いられる過程です。血液中の脂肪酸が増加すると、肝臓のグリコーゲン分解酵素の活性が低下し、エネルギー源がグリコーゲンから脂肪へ切り換わりますが、その間もグリコーゲンが減少を続けます。絶食や長時間の運動が続くと、筋肉タンパク質が分解されて、得られるアミノ酸から糖新生が行われます。

 

エネルギー産生に必要な主な栄養素

 三大栄養素の代謝に関わるビタミンは、主に以下のようになります。また、TCAサイクルを働かせるためにはB1・B2・B6・パントテン酸などが必要となります。ビタミンB群は、あらゆる酵素の補酵素として相互に作用して言うため、一緒に摂取することが望ましいです。

 


タンパク質

脂質

糖質

ビタミンB6
ビタミンB2
ビオチン

ビタミンB2
ナイアシン
ビオチン

ビタミンB1
ナイアシン
ビオチン