健康生活へのアドバイス

メタボリックシンドローム

適量を超えた食べすぎや運動不足などによって引き起こされる生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、腸の周りに脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が大きくかかわるものであることが分かってきました。内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖・高血圧・脂質異常の項目のうちいずれか2つ以上をあわせもった状態を、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)といいます。

特定健診・特定保健指導

平成20年度より40歳以上の被保険者・扶養者に対してメタボリックシンドローム対策の特定健康診査と特定保健指導が医療保険者に義務付けられることになりました。病気になる前段階で歯止めをかけて疾病発生を予防、また、国の医療費負担のを抑制する目的があります。

内臓脂肪の蓄積をチェックし、メタボリックシンドロームのリスクを発見する事で、自覚症状のない段階から生活習慣を改善する事を目的としています。体重だけでは分からない内臓脂肪の蓄積の程度を調べるために腹囲測定と、心疾患のリスクを判定するためにLDL(悪玉)コレステロール値が従来の基本健診項目に加わりました。また、特定健診では医師・管理栄養士・保健師(当院は医師・管理栄養士のみ)のいずれかによる、検診後の保健指導が特徴となっています。

図1.日本のメタボリックシンドローム診断基準


内臓脂肪面積
(腹囲)

男性85cm以上  女性90cm以上
(内臓脂肪面積が、男女共に100cm2以上に相当)

上記に加え、以下のうち2項目以上が該当

血清脂質

中性脂肪値150mg/dl以上

HDLコレステロール値40mg/dl未満

血圧

収縮期血圧130mmHg以上

拡張期血圧85mmHg以上

血糖値

空腹時血糖値110mg/dl以上

※腹囲の測定方法は、立った姿勢で両足をそろえ、両腕は体の横に自然に下げて息を吐き、へその高さで計測します。巻尺が背中や腰に水平に巻かれているかを注意します。

図2.肥満度(BMIの計算方法)

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

健康を維持するための目安として、日本ではBMI値25以上を「肥満」として注意を促しています。特定健診では腹囲が図1の基準値をオーバー、もしくは体重が「BMI値25以上」のどちらかに当てはまると、血糖・脂質・血圧の数値及び喫煙の有無などのリスクによって、3つのレベルに分けられて保健指導が行われる事が決められています。

一番リスクが低く、生活習慣病の危険が少ないレベルで、異常が無かった人や、「腹囲もしくはBMI」のみのリスクであった人は『情報提供』となり、当院では検査結果説明時の栄養指導のみとなります。二番目にリスクが高く、メタボリックシンドロームの危険が出始めた人は『動機づけ支援』となり、初回20分以上の面接・指導が行われ、6か月後に成果確認を含めた指導を行われます。最もリスクの高く、メタボリックシンドロームの項目が重なり出した人は『積極的支援』となります。千葉市では6か月間毎月継続的な保健指導が原則となり、無理なく出来る目標を自分で選択し、継続して実行するためのサポートを受けることが出来ます。6か月後に、成果確認を含めた栄養指導を行います。LDLが高く、将来動脈硬化の危険が強い場合や数値の異常が強度な場合は、定期的な診察が必要と判断され『要医療』となります。

 

内臓脂肪

脂肪細胞からは、様々な生体の調節機構に関与する蛋白質(サイトカイン)が分泌されます。悪玉のサイトカインとしては、インスリンの働きを阻害して(境界型)糖尿病を引き起こすTNF‐α、FFA、レジスチンをはじめ、血管を収縮し血圧を上昇させるアンジオテンシノーゲン、血栓を作りやすくし、心筋梗塞や脳卒中の原因となるPAI‐1などが挙げられ、動脈硬化などの発症に強く関与します。

一方、善玉のサイトカインであるアディポネクチンは血液中に大量に含まれ、傷ついた血管にすばやく作用して修復し、動脈硬化などを予防するほか、インスリンの効きを良くして糖の代謝を改善する働きがあります。内臓脂肪が蓄積すると、TNF-αなどの悪玉サイトカインは合成・分泌量が増えるという性質があるのに対し、アディポネクチンの合成・分泌量は低下してしまう性質があります。そのため内臓脂肪が蓄積するに従い高血圧や糖尿病、高脂血症が進展し脳卒中や心疾患を発症させやすくなってしまいます。

このためメタボリックシンドロームでは生活習慣を改善し、内臓脂肪を減らすことが重要とされます。

 

食事

 内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、減らしやすい反面溜まりやすい性質があり、食事の偏りや食べすぎなどによって蓄積していきます。内臓脂肪を減らすため、食事内容で気をつけていきたい点を紹介します。

@ まず、腹八分目を心がけていきましょう。摂りすぎたエネルギーは消費できず、脂肪として蓄積されます。また、寝る直前に食べたものは消費できない為、内臓脂肪が蓄積してしまいます。

A 食事を食べるときは、野菜→たんぱく質→主食(炭水化物)の順で三角食べを行うと、血糖値の急激な上昇を防ぎ、余分な脂肪の蓄積を防ぎます。

B フライや天ぷら、照り焼きや肉の脂身など、脂肪分が多く、濃い味付けの料理を控え、野菜や海藻をたっぷりとりましょう。量は1日350g(1/3は緑黄色野菜)を摂るようにします。野菜や海草に含まれる食物繊維は脂肪やブドウ糖の腸からの吸収を抑える働きがあり、ミネラルは脂質の代謝を改善します。ビタミンA・C・Eには抗酸化作用があるため、LDLコレステロールが酸化されて血管の内膜に蓄積される事を防ぎ、動脈硬化を予防します。

運動

 活発な身体活動は、内臓脂肪を減らして、生活習慣病の予防に大きな効果があります。
健康づくりのための身体活動量として、厚生労働省が公開した「エクササイズガイド」では、週に23エクササイズ以上の活発な『身体活動』を行い、そのうち4エクササイズ以上は『運動』で行うことを目標としています。


1エクササイズに相当する身体活動

生活活動
歩く・・・・・・・・・・20分
自転車に乗る・・・・・・15分
子どもと遊ぶ・・・・・・15分
階段昇降・・・・・・・・10分
重い荷物を運ぶ・・・・・7〜8分

運動
バレーボール・・・・・・・・・20分
速歩(90〜100m/分程度)・・・15分
エアロビクス・・・・・・・・・10分
軽いジョギング・・・・・・・・10分
水泳・・・・・・・・・・・・・7〜8分

〈運動する習慣の無い人が、生活活動を積極的に行ってみることにした例〉

平日 自宅から駅までと勤務先から最寄りの駅までの徒歩40分(2Ex)、昼休みの散

20分(1Ex)、駅や職場の階段5分(0.5Ex)・・・・小計3.5Ex

休日 買い物や散歩20分(1Ex)、庭仕事30分(2Ex)・・・・小計3.0Ex

(平日3.5Ex×5日)+(休日3.0Ex×2日)=23.5Ex