2018.08.01
マリヤ・クリニックニュース8月号
巻頭言
世の中には対症療法的なアドバイスが流行っています。薬も対症療法の一つです。しかし、健康や長命というのは、対症的なものでは獲得できません。熱中症が騒がれていますが、基本的に健康な人は高齢者でも暑さの中で元気に暮らしています。むろん、健康ならば、何をしても良いというものではなく、健康な人は注意深く自己管理をし、生活を律しています。一病息災ということは、自分がなにかの病気になったので、健康に気を付け、その結果、長寿と幸せを全うしたということでしょう。
無理な生活、ストレスのある生き方が、健康を阻害し、寿命を縮めます。人や物事を思い通りにしようと考える人は、要らぬ軋轢、無理な生き方をするものです。例えば、暑ければクーラーをかければ良いのですが、節約とか、主義とか、意地とか、無感覚とかが、適切な判断の邪魔をするのです。暑さには負けた、自分の体力では調整できないと判断すれば良いのですが、そこで我慢をしたり、意地を張るのです。健康と長命の一番の秘訣は、考え方、心の持ち方、だと思われます。自己評価の基準は、女性が美しさで、男性が社会的地位が一番だそうです。ともかく、そういうものに縛られると、自分の弱さや低い評価に我慢ができずに意地を張り、人の言うことを聞いたり、仲良くできなくなります。人と仲良く暮らすと、健康管理にも心がむけられるようになります。
宗教者もこの意地が強いと要らぬ軋轢を生みます。人を思い通りに動かすために神の名を用いるなんて以ての外ですが、「罰が当たった。」などと、人の不幸をあざ笑った人は、自分が恥を掻かないように要らぬ心配を始めます。不幸、試練、失敗、病気などは人生に付き物で、だからこそ助け合い、支え合うことが必要なのです。「健康が第一。」という人がいますが、健康が宗教のようになって、対症療法的なものにお金を注ぎ、孤立していったら、それこそ無残なものです。
南国に行くと、暑い時には働かず、涼しいところでのんびりと過ごすそうです。沖縄に行った時、戸や窓を開け放ち、蛇皮線を弾いて歌っている日常生活に驚きました。日本は戦後の貧しい中から一生懸命働いて豊かになってきました。働くことが中心ではなく、自分の満足のいく暮らし方を模索しながら工夫を凝らし、家族仲良く健康に生きることを目指す時代のように思います。特に、高齢者の方々には、本当にご苦労さまでしたと言いたく、ゆったりと過ごしていただきたいと願っております。若い方々には、人生は長いのでしっかりと健康を含めた自分造りをして欲しいと思います。この夏を豊かに過ごしてください。
事務長 柏崎久雄
毎月1日にニュースを発行しています。
マリヤ・クリニックならではの視点で、健康・医療の情報発信を行っております。
皆様の心と身体の健康にお役立ていただければ幸いです。
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