健康生活へのアドバイス

胎児と乳幼児の栄養

子供の発育、発達について

子供の成長は誕生後、成長期ごとに特徴ある発達をします。また誕生後は脳の発達が優先のた め身体の機能は未熟なまま生まれ、栄養を摂取し脳とともに成長してゆきます。今回は栄養がど のように妊娠中の母体と胎児に関わりをもち乳児期まで成長を支えていくのかを学びます。

1 成長期の栄養の特徴

1 発育のため多くの栄養を必要とします。
骨格・筋肉・臓器など身体の組織を造るために十分な栄養素が必要です。
また、運動機能の発育、活発な活動、代謝のためにも必要です。

2 消化能力が充分発達していないため、食事回数、内容の配慮が必要です。
十分な栄養素が必要な時期にもかかわらず、消化機能が未発達なためです。

3 感染症に対する抵抗力が弱いため、粘膜強化が大切です。
胎児期に蓄えた免疫力は生後 6 ヶ月間で減少します。一方、生後の免疫をつくる量はゆっくりなため、離乳期〜幼児期までは感染症に対する抵抗力が弱いです。

4 精神の発達に合わせた食事と望ましい食習慣を身につける時期です。
精神発達も目覚しい時期です。

※ 望ましい食習慣の確立は、健康を維持し将来の疾病の予防につながります。

 

2 成長期ごとの成長速度

胎児期

母体で 10 ヶ月間、体重約 3Kg まで成長

新生児

出生から 4 週間までをいいます。

乳児期

4 週間〜1 才まで。急速に成長する

幼児期

1 才〜5 才。ゆっくりだが確実に発育する

学童期

一時ゆるやかになる

思春期

再び急速な成長(第二次性徴)

 

3 各器官の発達の特徴(新生児〜幼児期)

脳 神経系

脳は生後 6 ヶ月で出生時の約 2 倍、4〜6 歳で約 3 倍の重さになり成人の90%まで成長。 急速に発達する乳児期〜幼児期に、栄養が極端に不足する期間が限度を超えると、回復 の間に合わない決定的な損傷や障害を残すことがある。
→ビタミン B 群、タン白質の摂取が重要

リンパ、 免疫

免疫関係の発達は乳幼児期〜学童期に最大となる。 →ビタミン A、C、E、鉄の摂取が重要

体重

体重は子供の成長を直接的に見ることができ、栄養状態を判定する重要な目安の一 つ。満1歳で出世時の約 3 倍に成長。乳児期は生涯のうちで発育が最も盛んな時期。

身長

体重と同じく、月齢、年齢が低いほど成長が盛ん。身長の伸びは遺伝的要素もあり個人差 が激しい。

骨・歯

身体の支えとして、脳・内臓の保護のため骨の成長が盛ん。乳歯はエナメル質が?ないた め虫歯になりやすい。

精神・ 運動機能

乳幼児期は身体の成長のほか精神、運動、言語能力も発達し、自我が芽生え基本的な 生活習慣を身に付け始める時期。

血液

生後 6 ヶ月間の急成長でフェリチンが消耗する。以降、鉄の補給が大切。貧血があると成 長不良、脳を中心とした組織に多大な影響を与える場合もある。

泌尿器系

出生時はまだ未完成で生後 6 か月で成人の機能の 1/2。過剰な塩分は腎機能に負担を かけることになる。

皮膚

新生児の汗腺は未熟なため2歳までは体温調節が難しい。

筋肉

呼吸、母乳を吸う筋肉、生命維持の筋肉以外は未発達で産まれる。 小児でも運動で筋肉量の増加は可能。

副腎

20 歳まで成長を続けるため、刺激となるカフェイン類は特に子供へ与えないほうが良い。

生 殖 器

男 子

小児期の精巣は非常に小さく、緩やかに発達する。10〜11 歳頃になると精子をつくりはじ め精巣も発育が顕著になる。精子の圧力によって特徴的な抵抗感を感じる。

女 子

卵子は出生時には完成しているがその後、新しくは形成されない。 卵巣は思春期までほとんど発育せず、思春期を迎えるとホルモンの影響を受け成長し初 潮を迎える準備をする

 

母体の健康と胎児への影響

1. 母親の健康による影響

妊娠中の栄養状態は胎児の成長に大きく影響します。妊娠は健康な母体が前提ですが妊娠前からの栄養状態が最も大切です。
 10〜20 代女性のスリム・ダイエット志向が強く、栄養不足が続くと...
   1 胎児の発育不全。        
   2 出産後の発育不全。
   3 妊娠・出産・出産後のトラブルが起きやすい。
   4 出産後の体調不良が長引く。
最近、「妊娠中の体重増加は7〜8kg が好ましく小さく産んで大きく育てる」とよいとも言われますが、栄養不足の母親から産まれた子供は体重が非常に小さい場合が多いです。特に頭囲が小さいと脳の神経 細胞が?ないので神経細胞の増加(発達)できる数に限度があると考えられます。
※理想とされる妊娠中の体重増加

 

妊娠中の体重増加

痩せている女性(BMI<18)

10〜12kg

適正体重の女性(BMM7〜10)

7〜10kg(平均 9kg)

肥満の女性(BMI>24)

5〜7kg

平均体重増加約 9kgで最も周産期死亡率が低いという報告があります。

 

2.妊娠中になりやすい症状

1) つわり
妊娠 4〜8 週にみられ、吐気、嘔吐、食欲不振、嗜好の変化が早朝空腹時に多く起こります。この時期の胎児は 20〜100gですが細胞分裂が盛んに行なわれているため栄養不足があると胎児への影 響は大きくなります。
対  策:空腹でいるとつわりを強く感じるので、口に合うものを?しずつ食べましょう。 つわりはタンパク質(アミノ酸)代謝異常で生成されたキサンツレン酸の増加といわれています。タンパク質代謝に不可欠なビタミン B6 の多い食品の摂取でつわり症状が軽減します。

2) 妊娠中毒症
妊娠後半期に起こりやすい原因不明の妊娠不適応症。
主な症状:高血圧、むくみ、タン白尿。 重症になると子癇(母体の痙攣発作、昏睡)を起こし胎児の発育不全など母子共に危険な 状態になる。
対  策:肥満があると発症率が高く、摂取エネルギー過剰で症状が悪化するため、肥満改善のため タン白質を中心とした食事をし、甘い物は控え過剰なエネルギーを制限する。 高血圧予防の為、カルシウムを摂取する 。

3) 貧血
妊娠中は胎児への造血の他、全身の血液量が多くなり鉄の必要が高まります。また出産時の出血を考慮すると、妊娠前〜授乳期までの鉄の補給が非常に重要です。
母親が貧血でも胎児は成長に必要な鉄を優先的に胎児内に取り込む機能をもっています。そ れほど胎児の成長には鉄が重要で、母体を犠牲にしてまで鉄を確保します。そのため産後の体 調不良は鉄不足による症状が多いです。
主な症状:髪が抜けやすい、顔にしみができる、疲れが取れない、爪が割れやすい、イライラする、体重減少 。
対  策:妊娠中でも Hb13mg/dl は確保しておくと出産後、体調回復が早く母乳がしっかりでます。

胎児の栄養

カルシウム

妊娠初期から胎児は骨や歯の成長のためカルシウムを蓄積しています。(最初の30週間に胎児は150mg/日、出産近くでは 350mg/日のカルシウムが必要) 妊娠中、充分にカルシウムを摂取していないと胎児の骨・歯の成長の妨げになります。不足すると母親の骨・歯などからカルシウムを補うので母親の骨・歯がもろくなります。 身体にはカルシウムの蓄積・吸収・排泄の調節機能があるため、母親がカルシウムを過剰摂取しても排
泄されるので心配ありません。カルシウム代謝は身体の調節機能に任せた方が良いと考えられます。

鉄は神経組織の発達、造血に必要なため、不足すると子供の情緒の発育、病気に対する抵抗力に影 響が出ます。また貧血があると分娩時の異常出血や産後の回復に遅れが見られます。極端な鉄欠乏性 貧血の場合、心臓中隔欠損症(心臓に穴があく)、アトピー性皮膚炎、喘息の発症リスクが高まります。

葉酸

2000 年以降、先天性異常の二分脊椎症や無脳症が増加しています。これはビタミン B12+葉酸 の補給で低減できると報告があります。妊娠時の葉酸の摂取量 400μg/日 (厚生労働省指針)

妊娠中に避けたいこと

1 妊娠中の飲酒による胎児への影響は、顔面の発達異常 ・小頭症(頭部・脳が異常に小さい)・発達障害 などの先天性異常児のリスクが高まります。また、成長と共に精神遅滞や問題行動などを起こしやすくなるため、妊娠中のアルコールは厳禁です。母親がお酒を飲むと、母乳中のアルコール濃度は最 大で母体の血中アルコール濃度と同程度上昇すると言われています。この母乳を乳児が飲めば、 乳児もアルコールを飲んだことになります。

2 妊娠中にタバコを吸うと、胎児が発育不全となり、低体重の子供が産まれる傾向があります。

理  由:ニコチンは胎盤内の血流を低下させ、母体から胎児への血液量が減ります。
血液中のヘモグロビンがタバコに含まれる一酸化炭素と結合し、酸素と結合できない赤血球が増 えるため、胎児が酸欠状態になりやすくエネルギーも不足するので発育障害が起こります。 ニコチン以外の有害物質も胎児に影響します。
* 妊婦は副流煙の影響も受けるので、周囲の理解も必要です。

3 鎮痛催眠剤、ホルモン剤、抗ガン剤、抗けいれん剤の服用は催奇形性が高いとされています。そ の他、漢方薬、ステロイド剤などは自分の判断で服用せず医師への相談が必要です。便秘薬は子宮 の収縮を強めて流産や早産の危険があるため、他の薬と同様に医師の指導のもと使用しましょう。

4 妊娠中の梅毒、風しん、トキソプラズマ感染は流・早産の原因になるほか先天性異常児の可能性があります。淋病・クラミジアなどの性感染は自覚症状がありませんが、卵管炎を起こし不妊症の原因に なることがあるので注意が必要です。 →オリーブ葉エキスなど天然の抗生剤物質が有効。

5 着床後間もなくの被曝は胎内死亡、妊娠初期(器官が形成される時期)の被曝は奇形発生の確率が高くなるため、レントゲンには充分注意が必要です。