ビタミンE
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ビタミンE

病気や老化を招く細胞膜の酸化を予防

ビタミンE は抗不妊作用のあるビタミンとして発見されました。その後、強力な抗酸化作用をもつことがわかり、「若返りのビタミン」、「老化抑制ビタミン」などと呼ばれるようになりました。

はたらき

神経伝達に重要な役割を果たす

ビタミンE は、正常な成長を促進し、筋肉、血液、および神経細胞の機能を向上させ、不飽和脂肪酸を吸収し、ストレスに対処し、さらに解毒剤としても機能します。

生体機能調節

細胞膜の機能を整え( 注1)、情報伝達を正常化する。

脂肪の酸化防止
血行促進
ホルモンの分泌と作用を整える( 注2)
妊娠の維持や不妊の改善にも機能する

不足すると

ホルモンの分泌に異常をきたす
しみ、動脈硬化

過酸化脂質ができやすくなり、さまざまな老化現象、生活習慣病が現れやすくなる。

ホルモン分泌障害

生殖機能が弱まり生理障害、不妊や月経前症候群、異常妊娠を起こすことがある。更年期障害による自律神経失調症などの症状を招きやすい。

その他、ビタミンE が不足すると、溶血性貧血( 注3)、肩こり、頭痛、生理痛、関節痛、腰痛、冷え、循環器疾患を起こしやすい。

摂り方

ビタミンA、ビタミンC との連携作用で効果が増強

ビタミンE を摂取することによって、脂質の酸化を予防し、老化に歯止めをかけ、体内外の環境を改善するのに役立ちます。ビタミンE はカロテノイドやビタミンCと一緒に摂取することが大切です。ビタミンE は活性酸素を除去した際、自らが酸化してゆきますが、カロテノイドやビタミンC は酸化したビタミンE を元に戻し、再び抗酸化作用を発揮できるように作用します。

ビタミンE 摂取が有効な症状

• 若返り、老化予防(ビタミンC、タンパク質と一緒に)
• 動脈硬化を抑制する(ビタミンC と一緒に)
• 心臓の病気(狭心症、心筋こうそく、心不全など)の予防・治療
• 循環器系の病気の予防、治療
• 貧血(溶血性、鉄欠乏性)の改善(ヘム鉄と一緒に)
• 内分泌系の病気(甲状腺機能、下垂体、副腎、性ホルモンなど)の治療
• ストレスに対する適応能力の向上(ビタミンC と一緒に)
• 月経前症候群(亜鉛、ビタミンB6、γ-リノレン酸と一緒に)
• 不妊、異常妊娠

※空腹時の吸収率は良くないので、単独で摂取するのではなく食事の際に他の栄養素と一緒に摂取すると良い。

自然のビタミンEと合成ビタミンE

ビタミンE のサプリメントには、大きく分けて「天然」、「天然型」、「合成」の3 種類が存在します。植物油から抽出した「天然」のビタミンE の1 分子は繰り返してはたらき、1000 個のフリーラジカル分子に対応します。これに対して「天然型」や「合成」のものは、抗酸化にはたらく部分が「天然」と違う構造になっているため( 注4) 抗酸化作用についてはほとんどなく、ビタミンE としては有効ではありません。天然ビタミンE を利用することをお勧めします。

悪玉であるLDL コレステロールの酸化を抑制する物質、ビタミンC、E、カロテノイドのうち、ビタミンE とカロテノイドは脂溶性であり、直接LDL コレステロールに組み込まれ、抗酸化作用を発揮します。合成ビタミンE には、この作用がありません。

ビタミンE は、トコフェロールとトコトリエノールの2 つに大別され、それぞれα、β、γ、δと4 種類ずつ、計8 種類存在します。このなかで生理活性(人の身体の中でのはたらき)は、α -トコフェロールが最も高く、α>β>γ>δの順になりますが、抗酸化作用はδが最も高く、δ>γ>β>αの順になります。

脳下垂体とビタミンE

ビタミンE は、血液、心臓、骨格筋など様々な器官に分布しますが、特に副腎皮質や脳下垂体といったホルモンを産生する器官への分布が多いことが特徴です。脳下垂体から分泌されるホルモンは、黄体形成ホルモン(LH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)などがあります。

ビタミンE は脳下垂体にはたらきかけて生殖機能を維持し、月経前のイライラ、生理痛、生理不順などを改善するはたらきがあります。
また、女性は閉経を迎える時期になると、女性ホルモンの分泌が減少してホルモンバランスが大きく変わり、肩こり・めまい・冷え・のぼせ・息切れ・手足のしびれなど更年期症状が現れます。ビタミンEは女性ホルモンの1 つである黄体ホルモンの材料なので、この時期に食品やサプリメントでビタミンE を多く摂取することは、更年期症状対策として有効です。

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ビタミンEはナッツ類や油に多く含まれています。女性ホルモンとの関わりが深く、不足すると冷え体質になりやすいことから、特に女性に必要なビタミンと言えるかもしれません。

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注釈

注1
天然のビタミンE は細胞膜に入り、細胞膜の酸化を抑える。合成のビタミンE には、このはたらきはない。

注2
脳下垂体や副腎などホルモンを産生する器官には、ビタミンE が多く分布する。

注3
赤血球膜が弱いと、赤血球は本来の寿命である120 日未満のうちに壊れやすくなる。ビタミンE、ビタミンA、グルタチオンは、こうした溶血を起こしやすい状態を改善するのに役立つ。

注4
「天然」では水酸基(OH 基)となっている部分が、「天然型」や「合成」ではアセチル基になっている。そのため、「天然型」や「合成」は医薬品としての安定性を満たすが抗酸化能力は望めない。