コンドロイチン硫酸
人の身体を構成する細胞と細胞を結び付ける組織には、多くの水分が含まれています。その水分をとどめるはたらき、つまり保水力が、人の細胞組織および結合組織になくてはならないものです。身体の60% 以上が体液、つまり水分です。その水分を保つ力が衰えると、細胞に栄養分を運ぶ能力が落ち、細胞組織も衰えます。そして、皮膚にみずみずしさがなくなり、関節痛、老眼などを引き起こし、老化の原因になります。
この結合組織の保水力は、その組織に多く含まれる、ムコ多糖( 注1) という物質のはたらきによるものです。したがって、老化を予防し若々しさを保つためには、ムコ多糖を十分に補うことが大切です。
コンドロイチン硫酸はムコ多糖の1つです。ほかにヒアルロン酸、へパリン、キチンなどの種類があります( 注2)。これらは、もともと人の体内で合成されていますが、加齢に伴って合成能力は低下します。
10 代~ 30 代を100 の合成能力とすると、40 代では60、60 代では45 にまで低下します。
はたらき
細胞や組織を結び付けたり、間隙を満たしたりする。
肌がみずみずしくなり、張りが出る。
細胞が水分を保持する作用で摂取効果を向上。
カルシウム、リン、アミノ酸、ビタミンDなどを運び、カルシウムを骨に沈着させる。骨の主な成分でもあり、骨粗しょう症を改善する。
肉芽の形成を促進し、手術後の癒着やケロイドを防止する。
潤滑油のようなはたらきで靭帯、腱の弾性を維持。
関節炎、リウマチを改善する。
コラーゲン繊維と結合し、角膜の透明性を保つ。
血管の弾力を保つはたらきがある。
動脈硬化の予防、回復に役立つ( 注3)。
コラーゲンと協力して細菌やウイルスを包み込むことで、感染拡大を防止。
不足すると
コンドロイチン硫酸が不足すると、血管がもろくなるので出血を起こしやすくなったり、関節痛や筋肉痛を起こしやすくなったりします。また、骨や歯がもろくなるほか、白内障や網膜症を起こしやすくなります。
摂り方
ムコ多糖の体内合成力を強めるためには、ビタミンE、C、カロテノイド、ミネラル類、タンパク質(ムコ多糖はタンパク質と結合して存在する)を積極的に摂取すると効果的です。貧血があれば、鉄と一緒に摂取しましょう。
注釈
ムコとは、ラテン語の粘液という意味で、粘り気のある糖類の総称。
注2
ヒアルロン酸以外のムコ多糖類は、タンパク質と結合し、プロテオグリカンとして体内に存在している。
注3
動脈の血管壁で、弾力繊維が崩れると、カルシウムやコレステロールが沈着しやすくなる。