糖質(炭水化物)
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糖質(炭水化物)

総エネルギーの50 ~ 70%を目安に

三大栄養素の中の炭水化物は、糖質と食物繊維に分けられます。糖質は1g 当たり4kcal のエネルギーを発生し、糖質は他の栄養素(タンパク質は4kcal/g、脂質9kcal/g のエネルギーを発生する)からのものより優先的にエネルギー源として利用されます。
2013 年のデータでは日本人は総エネルギーの約59.3% を糖質から摂っていますが、この割合は1950 年と比較すると減ってきており、脂質から摂る割合が25.9%と増えています。1950 年では糖質から約79%、脂質から7.7%でした。現在では糖質は肥満の最大の要因として敬遠される傾向にありますが、問題は糖質の種類にあります。

血糖値の急上昇をもたらす単糖類

糖質は、加水分解によりそれ以上分解できない最少単位である「単糖類」、2 つの単糖が結合した「二糖類」、単糖類が多数結合した「多糖類」に分類されます。
このうち、単糖の数が少ないものほど摂取後に速やかに吸収され、血糖値を急激に上昇させます。そのような糖質を大量に摂取すると、上昇した血糖値を下げるためインスリンが多く分泌され、インスリン過剰分泌により、肥満を引き起こしやすくなります。するとインスリンを分泌するすい臓が疲弊し、低血糖症や糖尿病を引き起こす原因となることがあります。

糖質の種類

多糖類

単糖が数十から数千結合したもの。でんぷん、グリコーゲン、セルロース、ヒアルロン酸、グルコマンナンなど。でんぷんは水に溶けない性質をもっており、米、小麦、豆類などの主成分。

オリゴ糖( 少糖類)

単糖が3 ~ 20 個結合したもの。フラクトオリゴ糖など。腸内細菌の善玉菌であるビフィズス菌を増やすはたらきがある。タマネギ、ゴボウ、母乳に多く含まれる。また、でんぷんや食物繊維は体内でオリゴ糖になる。現在は多くが工業的に作られており、さまざまな加工食品に使用されている。甘さは砂糖の1/10 しかない。

二糖類

単糖が2 個結合したもの。ショ糖(いわゆる白砂糖)、麦芽糖、乳糖など。ショ糖は、サトウキビやテンサイを原料に作られる。

単糖類

ブドウ糖、果糖など。清涼飲料水に多く使用されている果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖などは単糖類に属し、砂糖と同じ熱量がある。清涼飲料水には、1 缶(350ml)に約20 ~ 30g ものブドウ糖が入っていることもあるので、飲み過ぎに注意。

はたらき

ほとんどはエネルギー源になる 一部は糖タンパクに変化

糖質はほとんどがエネルギー源となります。そのうち一部はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられ、一部は中性脂肪として蓄えられます。その中で、一部がタンパク質や脂質と結びついて、体内で生理的機能を担っています。

不足すると

エネルギー不足による悪影響のほか、自律神経のバランスをくずす原因にも

総摂取カロリーに占める糖質の摂取割合が40%以下になると、エネルギーの材料が不足するため、身体がだるくなったり、集中力が無くなったりします。その際、身体は基礎代謝や活動のためのエネルギーを獲得するために、自律神経やホルモンをはたらかせ、脂肪やタンパク質からエネルギーを産生しようとします( 注1)。
このときに分泌されるカテコールアミン( 注2) は自律神経の中の交感神経の伝達物質でもあり、糖質不足が続くと自律神経のバランスを崩しやすくなります。

摂り方

単糖類の摂取はできるだけ避ける

糖質は体内で分解され、最後は単糖類の形になって吸収されます。多糖類の食品を摂取した場合は、体内で単糖類にまで分解され吸収されるまでにある程度の時間がかかります(30 ~ 40 分)が、単糖類や二糖類で摂取すると、即座に吸収され血糖値が急上昇することになります。単糖類の摂取はなるべく控えることが大事です。
糖質が体内で代謝され、エネルギーに変換されるためには、補酵素としてビタミンB 群が必要です。摂取する糖質の量が増えるほど、ビタミンB 群を摂る必要が増します。
糖質は、過剰に摂取するとインスリンの分泌量が増え、ブドウ糖が脂肪に転化して貯蔵されやすくなり、肥満の原因になります。また早食いや就寝直前の食事は、同様に太る原因となるので注意しましょう。

甘味料について

砂糖(ショ糖)の代替品として、さまざまな甘味料が作り出され、使われています。甘味料は、大別すると糖質系甘味料と非糖質系甘味料の2 種類に分けられます。さらに糖質系甘味料は、砂糖、でんぷん由来の糖、糖アルコール、その他の糖に分けられ、非糖質系甘味料は、天然甘味料と合成甘味料に分けられます。

でんぷん由来の糖( 糖質系甘味料)

ブドウ糖、果糖、麦芽糖など。

糖アルコール( 糖質系甘味料)

マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなど。
糖に水素ガスを作用させたり、発酵させたりして作る。

天然甘味料( 非糖質系甘味料)

植物の葉や果実などに含まれている甘味成分を抽出した甘味料。ステビア、羅漢果( らかんか) など。

合成甘味料( 非糖質系甘味料)

化学合成によって作られる甘味の高い甘味料。甘味が砂糖の200~ 500 倍もある。アスパルテーム、スクラロース、サッカリンなど。

食品に書かれているシュガーレス、ノンシュガー、無糖、ノンカロリー、カロリー0 という表示は、食品100g(ml)当たり「糖質0.5g 未満、熱量5kcal 未満」のことをいいます(健康増進法第31 条に基づき定められた「栄養表示基準」による)。また、微糖、低糖、低カロリー、カロリー控えめという表示は、「糖類5g 未満、熱量40kcal 未満(飲料の場合、糖類2.5g、熱量20kcal 未満)」のことをいいます。ここでいう「糖類」「シュガー」というのは「単糖類」「二糖類」のことをいい、それ以外の甘味料を使用してもこれらの表示は行えるので、注意が必要です。
甘味料は、砂糖と同量でも砂糖よりも何百倍もの甘さを感じさせるため、使用量を砂糖より減らすことができます。そのため、ダイエット食品や糖尿病患者の治療に使われたりします。ただし、甘味料の中には消化が遅いものがあり、体質によりおなかがゆるくなる場合があるため、注意が必要です。

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注釈

注1
脂肪やタンパク質からエネルギーを産生することを、それぞれ脂肪異化、タンパク異化という。摂取カロリーに占める糖質の割合が40% を下回ると、脂肪異化・タンパク異化の割合が増える。

注2
アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの総称。カテコールアミンのはたらきについて、詳しくは第4 章「低血糖症」の項を参照。