亜鉛
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亜鉛

傷やかいようの治癒力を増強

亜鉛はミネラルの1 つで、タンパク質、酵素、核酸、コラーゲンの合成に重要なはたらきをします。エネルギーを作り出すために必要な酵素を初めとして、約300 種類の酵素のはたらきに不可欠です。
DNA、RNA の合成や修復に関係する酵素にも亜鉛が含まれており、亜鉛がなければ細胞も作れません。また、老化やがんを促進する活性酸素などのフリーラジカルを抑えるはたらきがあります。

傷やかいようの治癒力を増し、赤みを帯びた皮膚炎にもよく作用します。有害な重金属や薬物に対する解毒機能も持っています。亜鉛は小腸で吸収され、骨や筋肉に貯えられますが、吸収される量は自然にコントロールされていて、身体が要求する量だけ吸収します。最も不足しやすいミネラルの1 つといえます。

はたらき

タンパク質、酵素、核酸、コラーゲンの合成に重要
正常な皮膚の代謝を促す

傷を癒し、赤みを帯びた皮膚の炎症を抑える。また、にきびにも効果を現す。カンジダ性膣炎の治療を早める。欠乏により、色素沈着や皮膚線状(伸縮性の状線)を起こしやすくなる。また、亜鉛の吸収障害による、腸性肢端皮膚炎( 注1)もある。

視力を維持

視力に関わるロドプシンの合成に関与する。レチノールからレチナールへの代謝を促し、暗さに順応しやすくする。

爪の代謝に関与

爪の白い斑点は亜鉛不足の兆候。

性ホルモンの分泌を調整

性腺を発育させ月経前緊張症、不妊なども改善。

神経伝達物質の調整

脳神経ではGABA やドーパミンなどの神経伝達物質の放出や取り込みを調節し、うつ症状などを和らげる。

必須脂肪酸の生成を促す

-リノレン酸、DHA やEPA など必須脂肪酸や生理活性物質の生成を促す。

免疫力を強化

免疫力を強め、ホルモンの分泌や合成、作用にも関わる。

重金属の排出

活性酸素除去酵素(SOD)の構成要素であり、重金属の排出を促す。

その他、インスリンの合成を助け分泌を促す、DNA合成を指示するなどのはたらきもあります。

不足すると

子どもの成長に悪影響がおよぶ
胎児の成長に悪影響

胎児の成長が遅れ、知能の発達に影響がある。妊娠中は特に多くの亜鉛が必要。

発達障害

発達障害がみられる子どもは、血液検査での亜鉛の数値が低くなる傾向にある。亜鉛と銅の検査数値の比率は10:9 が理想。

男子の思春期に悪影響

子どもの場合は、男性性器の発達が不十分となり、二次性徴が遅れる。

味覚異常

妊娠初期の味覚異常は、胎児の成長、子宮、胎盤の増大のために大量の亜鉛を消費するため起こる。老年の味覚異常は、加齢により亜鉛の吸収力が低下するため起こる。

その他

前立腺肥大症候群、夜盲症、黄斑変性症、皮膚炎、皮膚角化症、脂肌、皮膚線状、口内炎、脱毛、髪にツヤがなくなる、爪の異常(白い斑点)、傷の治りが遅い、食欲不振、下痢、免疫力低下により感染症にかかりやすい、性腺の機能低下、月経前緊張症、無気力、精神不安定、コラーゲン生成不足による関節炎、アレルギー性鼻炎、耳鳴り、メニエール症候群、まれに腸性肢端皮膚炎などがみられる。

摂り方

発汗やアルコール摂取による喪失に注意

亜鉛の1日当たりの推奨量は、9 ~ 12mgとされていますが、マリヤ・クリニックでは、この量では十分ではないと考えています。栄養医学における基本的栄養素はタンパク質、ビタミンB 群、ビタミンC、鉄、亜鉛であり、現代日本の食生活で特に不足しやすいのがこの5 つです。これは、一般の栄養学の通念と全く異なります。
たくさん汗をかくと、体内から亜鉛を1日3mg くらいを失います。また、飲酒やカフェイン、ステロイドホルモン、アドレナリン、アルドステロンにより、尿中への亜鉛排泄が増加します。糖尿病では尿糖と一緒に亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどがともに排泄されやすく、ビタミン、ミネラル欠乏を招く要因の1つです。
1 日100mg 以上摂取すると中毒症状が出現することがあるので、注意が必要です( 注2)。

亜鉛の吸収を促す要因、妨げる要因

【吸収を促す要因 】
動物性タンパク質

一緒に摂ると亜鉛の吸収率が良くなる。

クエン酸、ビタミンC

ミネラルを包み込み吸収しやすい形に変える。

【亜鉛の吸収を妨げる要因 】
スナック・インスタント食品

含有されるポリリン酸( 注3)、フィチン酸は、亜鉛と結合し吸収を妨げる。さらに加工食品には亜鉛はほとんど含まれない。パンは焼くとフィチン酸が壊れ、亜鉛の吸収が良くなる。

多量のカルシウム

亜鉛の吸収を妨げる。摂取する時間をずらせば問題ない。

アルコールの多飲

亜鉛は、アルコール代謝にも利用される。お酒を飲む際は、亜鉛の多いおつまみを選ぶと良い。

その他、激しい運動や労働、菜食主義、ストレス、月経前、ピル使用は亜鉛不足の要因となる。

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亜鉛は300以上の酵素と関わる栄養素であり、不足しやすい栄養素でもあります。血液検査で過不足を調べることができますが、不足していた場合はサプリメントの摂取をお勧めします。

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注釈

注1
遺伝性疾患の1 つ。亜鉛を腸から吸収する担体の欠陥が原因で起こる。身体にさまざまなタイプの湿疹を起こす。

注2
普通の食生活であれば亜鉛の過剰症が問題になる事はないが、急性亜鉛中毒では胃腸障害、めまい、吐き気が見られる。

注3
練り製品を筆頭にほとんどの加工食品に使われている。