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2020.06.01

マリヤ・クリニックニュース6月号

巻頭言

「正常性バイアス」という言葉があります。自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のことです。自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」などと過小評価したりするなどして、逃げ遅れの原因となるのです。「バイアス」とは、偏り、偏見という意味です。更に、意思決定バイアスの一環として思い込みによって正しく判断できないことを是正して判断するために、『ファクトフルネス』(事実を基に判断する)ことが重要視されています。多くの人が、思い込みによって正しく判断ができないと指摘されます。

 

日本は、世界に稀な統制社会です。「コロナウイルスを警戒し、感染予防の処置を取れ。」と言われたら、一丸となって予防して、感染者や死亡者は著しく少ないものとなっています。それは日本という社会が、十分に豊かになっており、犯罪の少ない秩序あるものとなっていることが大きな原因となっています。国民も教養や常識を身に着け、互助精神も育んでいます。

 

ただ、日本社会がほころんで来ていることに気が付かなければなりません。今回のウイルス災害で分かったことは、日本のIT化が世界標準に比べてかなり遅れていること、倒産や廃業が続き、貧富の差が大きくなるにも関わらず、指導者たちの対応力や社会の回復力が弱いということです。日本の労働は、非常に非効率です。IT化が単なる合理化の手段としてしか理解されておらず、勤勉な人々を酷使することによって経済が成り立っていたのです。果たして、さらなる災害に対応できるのでしょうか。

 

健康に関する正常性バイアスも、コロナウイルスによって暴露されてしまいました。他の人を見て「比較的健康」であると自認していても、弱さを持った人々にはウイルスは暴力的に攻撃を仕掛けたのです。感染を調べる検査が全く進んでいなかったことも、被害が少なかったことで是認されてはなりません。医学の治療というものは検査データを十分に説明し、患者さんの理解と了解を経て行われるものですが、「事実を基に判断する」権利を患者さんも十分獲得しなければなりません。「加齢ですね。」と身体の衰えの原因を言われて「歳相応」と納得していたら、もはや衰えは回復しようがありません。自分にとって都合の悪い情報を軽んじたら、健康にはなれません。意識を高く持ってください。

 

事務長 柏崎久雄

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