2016.10.01
マリヤ・クリニックニュース10月号
巻頭言
ケトン体ダイエットをしてみて、やはり実際に体験しないとわからないものだと思いました。医療従事者としては、病気や疾患の辛さ・苦しさを知り、薬や処置の効果や副作用を深く理解することが必要なことです。私どもが低血糖症や発達障害の治療を始めたのは、その障害の苦しさ・辛さを身近に体験してきたからです。
治療・教育・人間関係・その他、理想を追い求めると目の前の人間を、不完全なものとして補完・矯正をしなくてはならないと考え始めて、血の通う対応ができなくなることはしばしば起こります。勉強したこと、集めた資料が、そのまま患者さんや生徒や子どもなどに適用できるものでないことを悟るために、長い経験と交流が必要です。知人がろれつがまわらなくなって、医療機関や大病院で何度も検査して「異常がありません。」と言われましたが、その後しばらくして死んでしまいました。当院に来ているのではないので、何度もきちんと診察をしてもらうように話しましたが、「医者がなんでもない、というのだから何でもないのでしょう。」と笑っていました。今でも悔しくてたまりません。
人が不自由・痛み・苦しみ・悲しみを抱えていることを察することができるということは、その人の人間としての質を表します。聖書には、「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」と勧めていますが、それは優しさのある人にしかできないことです。自分を変えたくても変えられない人、強くなりたくてもできない人、努力するような状況になれない人々が多くおります。
現代は、確かに弱肉強食の時代ですが、商売感覚で客に媚びを売る医療福祉の従事者も多くおります。親もまた、子供のご機嫌を取ることが愛であると誤解し、躾ができないようになっています。親は、子供を持った以上、子育てのプロとしての自覚を持たないと、子供の弱さや反逆に悩んでしまいます。医療従事者もまた、知識としてのプロではなく、覚悟としてのプロとして、どのような患者さんにも思い遣りを持った専門的卓越性を持とうとしなければなりません。
ダイエットに関しては、健康になりたくて始めて失敗し、免疫力を失ってガンを発病したり、認知症になっていったり、体力・気力が衰えてしまった多くの人々を知っています。もはや自ら、健康的なダイエットを試してみるしかないと考えた次第です。4週間してみて、かなり多くのことがわかりました。11月からダイエット外来を始めるべく、院長や管理栄養士と打合せをしています。ただ、しっかりしたダイエットでは、米・麦・芋・その他の味わいある食べ物を食べられなくなるので、味付けその他の調理法を確認しているところです。ともかく、味覚の秋を楽しく味わってください。太り過ぎに注意してくださいね!
事務長 柏崎久雄
毎月1日にニュースを発行しています。
マリヤ・クリニックならではの視点で、健康・医療の情報発信を行っております。
皆様の心と身体の健康にお役立ていただければ幸いです。
バックナンバーはこちらから(2009年~)