2022.05.01
マリヤ・クリニックニュース5月号
巻頭言
五月晴れの季節となりました。空は青く、花は咲き誇り、清々しい空気に心は弾みます。そして、母の日です。聖歌に『愛する母上』という曲がありますが、讃美するといつも涙が出てきます。
一.愛する母上 若葉香る 五月の良き日に 我らは歌う
母上の愛と 思いやりと 労苦を重ねし 耐え忍びを
二.母上忘れて 幼き日の 楽しき思い出 そも何処(いずこ)に
母上は悪を 嫌い給い 誘(いざない)の手より 守りませり
優しい母に育てられると情緒が安定します。私は父45歳、母42歳で生まれた9人目の年寄りっ子なので、子育てに慣れていたのでしょうか、干渉されず怒られずに育ちました。妻は二人娘の次女でしたが、大家族の中心として親が忙しく事業を営んでおり、殆ど放置されて育ったようです。それでも不器用な娘を心配して大人になってからも結婚してからも関わってきました。質素な柏崎家との違いに結婚してから驚いたものです。
内陸の前橋で質素な我が家は、肉はこま切れ、魚はメザシかサンマ、野菜はキュウリやナス、白菜がふんだんでした。豆腐屋さんは毎日立ち寄り、農家の人も我が家に野菜を持ち込んでいました。鹿嶋の妻の家は、大トロの刺身、ウナギ、大きなハマグリ、肉も豊富で料亭のようで、家の違い、貧富の差を感じました。妻はお姫様のように育ったわけです。
妻の母は、用心深く私を観察し、娘が幸せになっているか、不憫な思いはしていないか、苦労をしないように配慮をし、娘の方はそれを疎ましく感じる様子を見ておりました。子育ても一段落して夫婦で旅行をするようになると、ようやくその母も安心したようでした。私の母のほうは、医師である嫁を尊敬し、私たち夫婦を助けるために時折、訪れてくれました。
そして、いつの間にか、私たちがそのような歳になりました。妻は優しい母で、5人の子どもたちとその家族を過大な関心をもって見守っています。その様子を見ながら、私は義父に似ているのかもしれない、と思うことがあります。世代を継ぐというのは不思議なものですね。
4月7日の結婚記念日に出版した『発達障害の内科的治療の手引』は非常に好評です。その障害を持つ子のお母さん方の苦労を想います。その苦労がねぎらわれますようにと願いながら執筆しました。また、多くのお母さん方の労苦がねぎらわれますようにと思います。いつも、ありがとうございます。
事務長 柏崎久雄
毎月1日にニュースを発行しています。
マリヤ・クリニックならではの視点で、健康・医療の情報発信を行っております。
皆様の心と身体の健康にお役立ていただければ幸いです。