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2016.04.05

マリヤ・クリニックニュース4月号

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巻頭言

春、何よりも新入学する子どもたちの姿が麗しく、そこに桜が祝いの花を咲かせると、「めでたい、めでたい!」とうれしくなりますね。子ども自身は不安で一杯で、また、うれしくも、誇らしくもあり、親にとっては小学校に入学する、ということは本当にうれしいものでしょう。幸せで平和な姿ですね。

 

現実には、世界は混乱と不健康の道を進み過ぎています。『宗教の消滅』という本には、新興宗教の信者は半減しており、既成宗教についても世界的に信者は減りつつあるとあります。19世紀末にニーチェが、科学や資本主義経済の発達の中で「神は死んだ。」として、現実社会の問題に関心を払わない伝統的宗教の無力さを訴えました。ところが、20世紀になって社会が荒廃する中で、キリスト教では聖書をそのまま信じる福音主義が勢いを持ち始めました。

 

第二次世界大戦後、戦争を引き起こす人権侵害や権力の横暴、社会を退廃させる不道徳を警告することが宗教者の使命であるとして、社会規範の担い手としての使命を確認し、キリスト教が社会に定着しました。この責任を説いたのが、今回訪ねたロンドンのオールソウルズ教会の司祭で女王付牧師でもあったジョン・ストットです。彼は20世紀で最も影響を与えた神学者であり、質素な愛鳥家でもありました。でも日本では、キリスト教は、社会的責任を全うすることができず、経済力の進展の中で人々を結びつけ、動機づけを与える新興宗教が流行りました。

 

他方、イスラム教は伝統性を固持し、社会性や人権などを確認しないで、戒律を強調してきた傾向があります。ところが、資本主義や快楽主義の進展の中で、女性の人権や貧富の差も含めて教義と現実が相容れないものとなってきました。問題の対応には、その宗教の本質を確認して社会的責任に対応するべきことが大事ですが、イスラム原理主義はテロと結びついて孤立し、過激な教条主義になってしまいました。実は、私の属する教団もキリスト教原理主義とされます。聖書をそのまま信じるので原理主義となるのですが、神の愛を実践するべく社会への寄与を重視し、信者の結びつきも強いので社会的にも政治的にも影響力が強く、大きな教勢を保っています。ヨーロッパでは、カトリックもプロテスタントも神父や牧師は国から給料が出ることが多いのですが、私たちの派は国家からの独立を保つために信者からの献金で収入を得ています。

 

混乱期こそ、人格の形成が必要であり、家庭や真実な宗教の役割が大きなものとなってきます。子供を祝うばかりでなく、子供たちの将来を守るべく、私たち大人の社会的責任を再確認し、歴史を振り返りながら自らを形成していく責任があると思いますが、如何でしょうか。

 

事務長 柏崎久雄

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