◆マリヤ・クリニックニュース5月号「最近の治療と社会の風潮への危惧」を追加。pdf
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2019.05.07

マリヤ・クリニックニュース5月号

巻頭言

世の中には、頑張っても報われない人、頑張ろうにも頑張れない人、頑張り過ぎて心と体を壊した人…たちがいます。頑張る前から、「しょせんお前なんか」「どうせ私なんて」と頑張る意欲をくじかれる人たちもいます。あなたたちの頑張りを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

 

これは今年の東京大学入学式における上野千鶴子さんの祝辞です。2014年、ナイジェリアにおける女学校の300名程の女生徒拉致事件を覚えているでしょうか。私はすぐにナイジェリアの知り合いに連絡を取り、日本で勉強する気持ちがある女生徒がいるなら支援するから探して欲しいと伝えました。数か月後、ナイジェリアでは女子を留学させるようなことはしない、と連絡がありました。完全な女性差別です。

 

マスコミで、上野さんの祝辞について論評があった時に、日本を基準として、東大に合格するのは金持ちの子ばかりだというものが多かったです。しかし、世界を見ると、「頑張ろうにも頑張れない人」その他の途方に暮れる困難の理由が経済外のもっと深刻な人々がおります。

 

私自身、貧しい草履職人の9人目の子で、姉たちには中卒も夜間高校卒もおります。大学を志した私に、父はできるだけ支援するが、入学しても親が生きていると思うな、と釘を刺されました。当然、塾などは行ったことはありません。高校の卒業式も大学も親は来たことはありません。そのようなゆとりもなく働いていたのです。でも経済だけの問題ならば自分でもどうにかできるものです。

 

失敗を危惧するゆとりも悩む時間もあり得ず、努力と根性だけを積み重ねてきました。今でも人や組織を頼りとする意識は全くなく、国や年金など信用していません。原発事故の際の私の命がけの努力は、完全に国に妨げられました。今後も、不況どころか、大災害や侵略、そして社会的危険もあります。クリニックとヨーゼフとノアの働きは、少し社会的に貢献していると思います。数人の学生を支援し、恵まれない人々への配慮は、神を信じる者の使命としています。しかし、若い時のたまらない絶望感を思うと、これで済むのかと慚愧しながら、自らを確認しています。自他の弱さを認め、支え合っていきましょう。

 

事務長 柏崎久雄

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