◆マリヤ・クリニックニュース7月号「アブラハム・ホッファー博士の足跡」を追加。pdf
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2019.07.01

マリヤ・クリニックニュース7月号

巻頭言

今回はホッファー先生の歩みを振り返りました。そして、院長に似ている気がしました。院長は、自らも言うように、それほど優秀でもなく、英才というタイプでもありません。却って変人で気のいいおばさんというところで、普段の様子を見ると、誰も医師だとは思いません。でも、患者さんの病める原因を突き止め、治そうとする執念は凄いものがあります。

 

ホッファー先生への医学界の攻撃は凄まじいものでした。著述は、医学界から削除され、公の組織、文書による攻撃が続いていました。先生が治療研究したのは、「治らない。再発防止のために向精神薬を生涯摂取しなければならない。」とされている統合失調症でした。その患者の実情を知って、生化学者から医師へとなり、人生を注いだのです。それでも、先生が願うことは、患者さんに「礼儀正しく」、「安らぎを与え」、「栄養十分で美味しい食事を提供し」というものでした。なんと麗しい考えでしょう。

 

差別というものは、先入観から起こります。愛情を持っていても、「子供が病気であることは悪いことだ。」と思えば、治そうとして過度になります。異常とか、弱さとか、無知などというものは、人間の価値には関係ありません。価値が既にあるのに、「価値ある者になれ。」と言われ、励まされると、却って自分には価値がないのか、と卑屈になります。そして、弱いものであることを否定します。それは、そのような人への否定や差別にも繋がります。

 

相手が子供であっても、認知症の高齢者であっても、患者であっても、障害者であっても、対等に交流するということ、その人の状況をそのまま理解するということはなかなか難しいことです。更に、「良くならない。」という定義付けをしてしまうならば、相手の人の人生観は如何に悲劇的なものになるか、影響を与えてしまうか、考えたら、恐ろしいことです。医師や教師、その他の影響ある人々の言動には大きな責任があります。

 

現代は無宗教の人が多いのですが、神仏無き人生観では自己評価が低くなった時に、どのように対処するのでしょうか。人を愛する、優しくするということがどれだけ尊いことか、子どもたちにも受け継いでいかなければなりません。それは、知識や情報や能力の優劣よりも、大事なことです。どんなに攻撃非難されても統合失調症を治療しようと研究を続けたホッファー博士を想いながら、自らの為すべきことを確認しています。

 

事務長 柏崎久雄

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